「本当は、人と話すの苦手なんです」。そう語るのは賃貸営業部の松山さん。新卒で入社して以来、日々営業として現場に立ってきた彼女の三年間には数えきれないほどの地道な努力があったそうです。「自分には接客なんて」と思う人にこそ読んで欲しい、コツコツ型の生きるコツ。

松山 琴美(Matsuyama Kotomi)
金沢市出身。大阪の大学に進学したのち、地元に戻って就職活動。2018年にサンリーホームに新卒入社する。趣味は読書で、ケータイ小説からミステリー、時代ものまで幅広く読む。

就活の軸は、「やりたいことが全部できる」こと!

――松山さんは地元就職を希望して石川県で就活されたとのこと。当時の就活の軸みたいなのって覚えてます?

松山さん:「一社の中で自分のやりたいことが全部できること」が最大の軸で、それに合う会社であれば業種はとくに絞らず、3、4業種受けていました。そして、「やりたいことを全部する」には、小さい会社のほうがいいだろうなとも思っていました。小さいからこそ社内全体が見渡せて、部署間で活発に連携しながらいろんな仕事ができるような会社……という視点で探していたら、サンリーホームがぴったりでした。

―面接で何を聞かれたとかは記憶にありますか?

松山さん:それが正直全然覚えてないんです(笑)。でも、内定者懇親会のことはすごく覚えています。役員の方と食事をご一緒したんですが、「今計画しているマンション、学生目線で設備を入れるならどんなのが欲しい?」って質問してくるんですよ。

――今まさに進行中の案件に関して聞いてきた、ってことですよね。

松山さん:はい、他の会社じゃそんな質問飛んでこないですよね(笑)。私たちまだ学生で、マンションのことなんて何も知らないのに、意見求めていいんですか?ってところが大きかったんですけど、純粋に「学生目線で教えて欲しい!」ということだったから……意見をいろんなところから取り入れる力が凄いなと思いました。

――思うに、内定者をジャッジするために質問するんじゃなくて、純粋に聞きたいことを聞いてくる、という雰囲気だったんでしょうね。そんな感じで社内でも意見を聞き合うのが普通なんだろうなっていうのも伝わってきます。

松山さん:実際に入社後もいろいろと意見を求められます。日常的に一番よく意見を聞かれるのは建築部門で、新しくアパートをつくるにあたって、間取りや設備、お部屋の広さなど、日々物件にお客様をご案内して生の声を聴いている私たちの立場からいろいろと言わせてもらっています。具体的に挙げるなら、室内物干ではなくサンルームをつくってほしいとか、室内を区切る扉は二枚分開放的に開くようにしてほしいとか、ウォークインクローゼットを大きめにつくってほしいとか、お風呂を大きくしてほしいとか、シャワーヘッドをいいのをつけてほしいとか……。

――むちゃくちゃ細かいですね!でも今おっしゃったこと、全部、「そうなっていたら有難い!」と感じるポイントでした。

松山さん:自分の意見が反映されたアパートがどんどん建っていくのって、楽しいですよ。

マニュアル化不可能な、賃貸営業の難しさと面白さ。

――改めて、賃貸営業というお仕事について、その面白さや難しさを教えてください。

松山さん:店頭に来られるお客様に物件を紹介し、現地まで案内してご契約いただくのが基本的な仕事です。大半のお客様は、店頭に来られた段階では新しい住まいに対してまだぼんやりとした希望しか持っておられません。そこに対し、ヒアリングシートを使いながら具体的にお聞きしていき、合いそうな住まいをご提案します。ニーズを満たせて喜びのお言葉をいただけたときは、心の中で「よし!」ってなります(笑)。ただ難しいのは、当たり前ですけど商品知識がないといくらご要望を聞いても「その要望を満たせる物件はどこか」に結び付けられないということで、最初はその点で苦労しました。あと、そもそも物件の場所がわからないとご案内もできないので、グーグルマップに物件の位置を全部ピンで入れたりしていましたね。

――物件の場所、たしかに地道に覚えるしかないですよね。ただ最初から一人で放り出されるわけではなく、先輩にくっついていろいろと見て回る時間もありますよね?

松山さん:はい。最初の一ヶ月は先輩の営業にすべてついていって、先輩がお客様をご案内する様子をメモをとりながらずっと見ていました。見ながら頭の中で「次に自分が一人でここを案内することになったら、お客様にどんなご説明をするかな?」とずっとシミュレーションしたりして。先輩にも相当しつこく質問していたと思います(笑)。でも自分が教える立場になってみると、賃貸の営業ってすごく教えにくい職種だな、とも思うんです。

――「教えにくい」、と言いますと。

松山さん:同じ物件を紹介するにしても、営業ひとりひとり、またはお客様ひとりひとりによって、アプローチの仕方が違うんですよ。自分なりの営業のスタイルを掴んでいくしかないというか。他人のやり方を吸収するのは大事なんですが、言われたことだけをやっていてもできないし、むしろ自分から出していけないとなかなか難しい仕事だと思います。

――基本的な物件知識は教えることができても、「ここで何を言うべきか」についてはマニュアル化できないものがあるっていうことなんですね。

松山さん:そうですね。ヒアリングにしても、カルテの項目を一つ一つ聞いて埋めて行けばいいというものでもなく、そこにないものも取り入れて行って、結果としてお客様が求めているものを探り出せるかどうかが問われます。基本的に人と話すのが好きな人であれば向いているんじゃないでしょうか。

――松山さんご自身は、向いていると思われますか?

松山さん:いや、私はあまりそれが得意じゃないので、案内のときにダンマリになっちゃうこともたびたびあるんです(笑)。だからたとえばお客様に書いていただいたカルテを見つつ、「お仕事場こちらなので遠くないですか」と聞いてみたり、お客様が気にしている設備について詳しく説明してみたり、立地に詳しくない方には近くのお店の情報を併せてお伝えをしてみたりという風に、自分なりに毎回いろいろと頭をひねっています。

――ちょっと思ったんですが、サンリーホームは急成長中で、物件もどんどん増えていますよね。となると、営業も知識のアップデートがかなり大変なのでは?

松山さん:それは本当にあります。会社の姿勢が挑戦的だと社員も引きずられて挑戦せざるを得ないというか(笑)。たとえば山代温泉のエリアや七尾市など、離れていて私自身も土地勘のない場所に自社のアパートが建ち始めると、その一棟だけではなく周辺の物件も併せて調べて一度で何軒かご案内できるよう急いで調査します。また、建設中のアパートは中に入れないこともありますので、資料をお渡ししたり、似たような間取りや内装の物件があれば参考までにご覧いただいたりして、建つ前から入居後のイメージを持ってもらえるように心がけています。

挑戦の土台をつくるという名の挑戦。

――松山さんは、これから挑戦したいことってありますか?

松山さん:あんまりないんですが……。

――ない!?(笑)あぁ、でも、ふつうに仕事してるだけでサンリーホームだと挑戦の嵐、的な……。

松山さん:強いて言うなら、これから入社される方々のために、ちゃんと教えられる土台をつくっておきたいです。教えにくい仕事だと先程申し上げたものの、もうちょっと整理する余地はあると思うんです。今は、手の空いた営業がその都度教えている状況でして、新人からすれば知識が入ってくる順番がバラバラだからわかりづらいんじゃないかなと。今後当社はさらに大きくなるでしょうし、新しい人が増えていくにあたっての環境整備ですね。それはしていきたいです。

――それ、目立たないけれどすごく大事なことだと思います。そして、「自分は人と話すのが向いていない」とおっしゃっていた松山さんが、それでも営業という仕事から逃げずに一つずつ地道にクリアしてきたからこそ、仕事のノウハウを言語化したり整理したりすることができる、まさに教育に関しては適任なんだろうなとも思うんです。今日お話を聞いていても、松山さんからは具体例が山のように出てくるんですよね、物件の位置の覚え方とか、建築部門への要望とか……。それが全部、努力の跡なんだなと感じました。新人教育の土台をつくって、これから入社する人がちゃんと定着していくといいですね。

松山さん:そうですね。私個人としても、人が増えて欲しいんです。今の当社は個々の能力に頼ってなんとか回っている状態で、もしその人が抜けたらどうするんだろう?と思うこともあり。もっと人手に余裕を持ってみんなが仕事を共有できたら、より働きやすく、より強い会社になれると思っています。

――最後に、就活生に向けてメッセージをお願いできますか。

松山さん:自分が合うと思ったところには迷わず入った方がいいと思います。就活していく中で、仮にもともと全く興味のなかった業種でも、なんとなく「楽しそうだな」と思ったのならそれだけでも入社動機としては全然いい。やりたいことができる会社や直感で合うと感じた会社に、まっすぐ飛び込んでみてください!